医療法人解散手続きの流れ 必要書類
解散のやりかた…まずはお手元にある定款をみてください。
この法的な事由で解散するときは認可申請して下さい、これは届出にしてください」ということが決まっていて、それは定款に書かれてあります
定款に定められた事由に従って手続きをすることになります。
定款にはどんなことが、書かれてあるのか。
<定款に定められた解散の事由で解散できます。>
解散事由1「目的たる業務の成功の不能」
目的とは⇒新法のモデル定款の第2章「目的及び事業」に「病院(診療所、介護老人保健施設)を経営し、科学的でかつ適正な医療を普及することを目的とする」とある
※この目的が達成できなくなった時とはどんな時なのか
参考例えば診療所が全部なくなったとしても、また開けばできる、と言うことを考えると、「本当に不能になったのですか」と言われることがあり、実はこの事由で解散するのは結構難しい。
解散事由2「社員総会の決議」
皆でやめましょうと言って、社員同士、オーナーさん同士で決めて解散する。これが一番多いとされております。
解散事由3「社員の欠乏」
医療法人の社員(従業員ではない。)がいなくなること。この解散は比較的楽でスムーズと言われております。
解散事由4「他の医療法人との合併」
もともとあった法人は名前も変わって性質も変わるので解散することになる。
解散事由5「設立の認可の取り消し」
何か不当な行為があった場合に認可取り消しというのがあり得る
※実際は過去に1件か2件だけで、ほとんど見たことはない
解散事由によって解散にあたりお国の認可が必要・不要が実は分かれる!
「認可」は、事前に申請をして役所が普段は禁止されていることを解除してくれる仕組み
「届出」は、事後に「解散しました」と主務官庁にお知らせをするだけで効果が発生する
以下、要するに、
「認可」というのは都道府県などがOKと言わないと効果が発生しない。
「届出」というのは自分たちの意思でやめましたと言った時点で効果が発生する。
つまり、届出の方が、お国の厳しい審査がいらないので簡単な手続き
手続きの流れ と 期間
・解散の届出⇒8ヶ月
・解散の認可申請⇒認可申請をして認可を得るまでに時間がかかり、官報に2カ月間載せ終わるまでは清算に行けないので、最短でも10~12カ月
※参考
最終的に法人口座をゼロにしなければならず、これが意外と大変な作業
「税金や従業員の保険の還付金があるから待ちたい」などの理由で、最後の清算の時にドンドン期間が後ろに倒れてしまい、2年たっても手続きが終わらないということもあります。。
とても速いコースは解散の届出=自主的に解散する方法
解散の届出事由というのは、「社員総会の決議」か「社員の欠乏」
解散届出の場合、止めますと言うことを決議して、そのあとに解散届出を行う。
★法人はやめたいけども個人診療所で自分のクリニックを続けたい場合
「法人の解散の手続き」と「保健所の診療所の手続き」のタイミングをピッタリ合わせるスケジュール調整が結構難しい⇒これは認可申請の場合でも同じ
<いくつかの方法>
- 先に法人の診療所を閉めて個人の診療所に変え、法人を空にしてから認可の申請をする方法
- 認可申請を先にしておいて認可になるまでに個人名義の診療所に切り替える方法
- 認可後に個人の診療所に切り替えるという方法
※認可後にやる場合、医療法人は解散しているのに法人名義の診療所は残っているという気持ち悪い状態になってしまうので、そこは役所とスケジュールを調整していく必要がある
◆手続きの流れ
- 解散の認可申請の場合
県が事前審査⇒ OK ですよと言われたら書類を整えて出す
⇒認可証をもらって登記をする(この間に法人を閉じて診療所を個人名義に変える)
⇒官報を出し、口座の中を空にして、精算の登記
- 解散の届出の場合
止めますという手続き(決議)
⇒都道府県に解散の届出を出す(同時に保健所に「法人の診療所をやめて個人の診療所を開設します」という届出を出す)
⇒解散登記
⇒(官報を2ヶ月間掲出し、財産を全部カラにして)清算の登記
解散手続きの報酬について
解散を行う場合、なぜ廃止するの?と逐次聞かれます。。書類が整えば可能な設立よりも解散のほうが難しい場合があるのが医療法人手続きの特徴です。
(設立段階で、絶対に赤字にならないように、貸借契約が切れて立ち退きにならないのように等長期間ちゃんと経営してねと何度も念を押されるためです。場合によっては解散できないというケースもあり休眠して解散命令を待つというケースもございます。)
そのため当事務所としては医療法人設立とほぼ同じかそれ以上の料金設定をしておりますが具体的には下記のとおりです。
医療法人社団の解散手続き代行について
35万8000円(税別)~120万(税別)となります。
(最低額になるケースは1人医師医療法人でかつ大都市部に存在するクリニック。解散理由も正当で業務範囲が認可申請のみ。個人成りではないケース。)
(報酬が増えるケースは、EX 無床診療所ではなく有床診療所 EX 分院が存在する EX 都市部以外に存在するクリニック EX 解散理由に疑義がある場合)
医療法人財団のケース
89万80000(税別)~となります。
医療法人財団は過去の相続税の特例があったころの名残のものしかなく母体が少ないため書類判断も行政裁量による部分が非常に大きいため難易度が高いです。
(報酬が増えるケースは、EX 無床診療所ではなく有床診療所 EX 分院が存在する EX 都市部以外に存在するクリニック EX 解散理由に疑義がある場合)
報酬は以上のとおりとなります。他の事務所では探せば安いところもあるかと存じますが、過去の申請事例で難儀した経験を元にすると上記は妥当かと思慮いたします。
よくあるQA
Q. 医療法人を止めて、個人事業主に転換する事は可能なのでしょうか。
A. 医療法人を解散し、個人事業主として医院を経営する事はもちろん可能です。
Q. 過去、個人事業主に移行した例がありましたら教えて下さい。何故、法人経営をやめてしまうのでしょうか、理由の背景にはどんな事が考えられるのでしょうか。
A. 医療法人のメリットは大きく分けて節税と相続です。儲けが少なければ、儲けを法人にプールして退職時に退職金として受け取るというスキームの意味が無くなります。
また、診療所の後継者がいなければ、相続のメリットもありません。一方、医療法人の運営には、定時総会の開催や上記の事業報告書の提出等、必要な手続があります。
メリットが小さい場合に、運営に掛ける労力を省くため、解散を選ばれる医療法人様は少なくありません。